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2024.01.19
2023年11月5日に、ベルサール虎ノ門(東京都港区)で開催いたしました「カワイプレミアムコンサート」に出演いただいた ピアニスト青島周平さんに、コンサート後お話を伺いました。
このコンサートは、第5回高松国際ピアノコンクールに出場者されたピアニスト7名を招聘して開催したコンサートです。当日の模様は、河合楽器製作所 YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
――― 今日は高松国際ピアノコンクールの出場者を招いたリサイタルでしたけれども、今日の演奏を振り返って、ご感想をいただきたいと思います。
まず、なぜこの曲にしたかというと、元々、スクリャービンの曲は自分のレパートリーには無かったのですが、この半年くらい、挑戦していました。初期と言えるようなポエムと、少し従来の和声観から外れた5番のソナタの組み合わせというのは、僕はすごく気に入っているので、それを今日は、みなさんの前で演奏したいなと思って、この選曲にしました。
このホールは、比較的フラットな会場ですが、残響が印象的で、お客さんが入った後でも、その残響を舞台で感じられるくらいでしたので、とても弾きやすく感じました。特にスクリャービンは、音の響きを積み重ねるような場面が多いので、そこはすごく自分が弾きながらも、その残響を感じることができ、とても心地よく演奏できました。
Shigeru Kawai は、音の音色や、硬さ、柔らかさを、すぐ瞬時にキャッチしてくれて、それをすごく表現しやすいイメージです。特に今日のスクリャービンは、音の層が大事なので、それにすぐ反応してくれて、とても音色が作りやすかったです。
――― 高松国際ピアノコンクールが終わって半年以上経ちましたが、振り返ってみて、当時のエピソードをお聞かせください。
初めて大きな国際コンクールを受けたので、とにかく完走するだけでも大変だったし、すごく光栄なことでした。第三次予選の前が一番疲れたなという印象で、ものすごく長いコンクールでした。ずっと気を張っていたので、集中力の面でも体力の面でも、本当に大変でした。
その一方で、いろんなコンテスタントの方と交流できたことが、とても良い経験となりました。普段ずっと留学していて、日本人の同世代の人たちとたくさん絡むことがあまりないので、それぞれの留学先の話などいろいろな話が聞けて、それがすごく新鮮で、刺激になって、良い時間でした。
――― そして、見事第2位に入賞されました。その後の反響はいかがでしたか。
結構、コンクールの配信映像を見てくださったようで、地方の方もSNSなどでコメントしていただいたり、コンサートに来ていただいたりするようになりました。コンクールの影響力の大きさを感じるとともに、配信の影響力にも驚きました。四国の方など今まではあまりご縁のない場所の方々からもご連絡をいただいたので、それはありがたかったです。
――― コンクール前後で、青島さん自身の変化はありましたか。
あの量のプログラムを用意したのが初めてだったので、あの舞台を経て、どのように本番前に調整していかなければいけないのかとか、どういう危険性というか、どういうところが危ないのかとか等が一つの経験として残りました。どういう精神状態で、三次はどのくらい疲れているとか(笑)、そういう予測がすごく具体的に、自分の中で測れるようになったので、他のコンクールとか本番、リサイタルを受ける際に、調整や準備がすごく楽になりました。
――― ありがとうございます。さて、現在フランスに留学中ということですけれども、青島さんの普段の生活について少し教えていただけますでしょうか。
もう留学も5年目で、最初よりはフランス語も慣れてきて、学校はすごく居心地の良い場所になりました。最近ちょっと治安が良くないので、そこは少し心配な部分もありつつも、でも、もうパリはコロナ禍以前の喧騒そのままで、すごく賑やかです。マルシェとか日曜日に行くのですが、すごくエネルギーをもらえる、一つの息抜きというか、気分が休まる感じになっています。
――― 普段のご自身のリラックス法は?
僕はスポーツ観戦がとても好きなので、サッカーをよく観ます。日本にいる時は、野球も観たりしています。すごく自分の感情をフルにぶつけられるところなので、それはとてもリラックスできます。結構、ピアノを練習していると煮詰まることがあるので、時々音楽を忘れて、スポーツに没頭する時間はとても息抜きになります。その場に行ける機会はあまりないのですが、大体、配信アプリで観て、全力で応援して、その瞬間はもう何も考えていません。あとは、普通に散歩するのも好きですし、人と飲みに行くのも好きですし。
――― ところで今日のリサイタルで出演されている梅﨑秀さんとすごく仲良さそうなところをお見かけしました。
はい、そうですね。高松(コンクール)の時に話したのが初めてでした。一緒に高松でラーメンに行ったり、ご飯をずっと食べたりとかしたり。それからセミナーでも一緒だったので、そこでもすごく気さくに接してくれました。彼は、モスクワ留学中ですので、ヨーロッパに用事がある時にちょっとパリにやって来てくれて、一緒に遊んだりしています。
――― 最後に、今後の活動や目標をお聞かせください。
直近の現実的な目標を言うと、今、マスター2年目で修士なので、論文がありまして、それをフランス語で書かないといけない、それが今年の1つの山だなと思っています。あと、ヨーロッパにいるので、たくさん国際コンクールにこれからもチャレンジしていきたいですし、機会があれば、日本でもコンサートをさせていただけたら嬉しいです。フランスでもやりたいですし、いろいろな人に聴いていただけたらなと。日本国内外問わず。今後、そう活動できるようにコンクールも頑張っていきたいなと思っています。
――― ありがとうございました。
※青島さんが出演されたこのコンサートのダイジェスト動画を河合楽器製作所 YouTube チャンネルで公開中です。是非ご覧ください。チャンネル登録もお願いいたします。
カワイプレミアムコンサート関連動画はこちらからご覧ください。
青島 周平 Shuhei Aoshima
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学卒業。現在パリ国立高等音楽院ピアノ科、伴奏科、エクリチュール科に在学中。第5回高松国際ピアノコンクール第2位・委嘱作品演奏者賞及び特別賞を受賞、第2回Shigeru Kawai国際ピアノコンクール第6位・全音賞。第32回かながわ音楽コンクール高校生の部、最優秀賞・神奈川新聞社社長賞。カワイショパンフェスティバル2019にてソロコンサート、ラフォルジュルネ2019に室内楽で出演。また、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、藝大フィルハーモニア管弦楽団、瀬戸フィルハーモニー交響楽団と共演。これまでに中村信子、後藤康孝、北島公彦、横山幸雄、青柳晋の各氏に、現在ピアノをフランクブラレイ、上田晴子、伴奏をジャン=マリコテ、和声をイヴアンリの各氏に師事。2023年度明治安田クオリティオブライフ文化財団海外音楽研修生。
X (Twitter) : @syu_pf15
◎「第5回高松国際ピアノコンクール 入賞者の声(2023年3月14日付)」にも青島周平さんのコメントを掲載しておりますので、合わせてご覧ください。
「世界一のピアノづくり」を目指す当社が、2001年に発表したフルコンサートピアノのフラッグシップモデル。コンサートピアノとして要求される最高の表現力を実現するために、響板には十分に厳選した材料だけを使用し、原器工程と呼ぶ伝統的な手作り工程で生産。またShigeru Kawaiグランドピアノシリーズで採用した新素材を随所に取り入れた革新的なウルトラ・レスポンシブ・アクションIIが、高い連打性と安定したタッチ感を提供する。繊細で伸びやかなピアニッシモに加えて、力強く輪郭のはっきりした響きが特長。
(この記事は、2023年11月5日に取材した内容に基づいて作成いたしました。)