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2026.01.07
表彰式11月9日から23日にポーランドのビドゴシチで開催された「第13回パデレフスキ国際ピアノコンクール」でSK-EXを使用したノ・ヒョンジンさん(韓国)が第1位を、青島周平さんが第5位を受賞されました。日本人唯一の入賞者となった青島さんと、見事栄冠を手にしたノ・ヒョンジンさん。ステージを終えたばかりのお二人にインタビューを行いました。
語られたのは、驚くほど謙虚で、音楽への純粋な敬意に満ちた言葉でした。 ピアノを「すべてを分かち合える親友」と呼び、自らの物語を託す。あるいは、演奏を「楽譜との橋渡し」と定義し、曲の真価を問い直す。 アプローチは違えど、楽器との対話を通じて誠実に音を紡いだ二人のピアニスト。その瑞々しい感性が捉えた、音楽の喜びをお届けします。
| 順位/賞 | 名前 | 国籍 |
|---|---|---|
| 第1位 | ノ・ヒョンジン(ROH Hyunjin) | 韓国 |
| 第2位 | チェチーノ・エリア(CECINO Elia) | イタリア |
| 第3位 | リン・ピンホン(LIN Pin-Hong) | 台湾 |
| 第4位 | キム・ジヨン(KIM Jiyoung) | 韓国 |
| 第5位 | 青島周平(AOSHIMA Shuhei) | 日本 |
ステージ上:Shigeru Kawaiフルコンサートピアノ「SK-EX」
「ピアノは、私のすべてを知っている親友」
第1位:ノ・ヒョンジンさん(表彰式)
見事1位に輝いた直後、ノ・ヒョンジンさんは「自分が優勝するなんて想像もしていませんでした」と、驚きと感謝をまっすぐに口にしました。 彼女にとってピアノは、単なる楽器や生きる手段ではなく、どんな時も寄り添ってくれる親友のような存在。
そんな大切なパートナーとコンクールという枠を超え、自身の物語を音楽に託そうとする、誠実な想いをご紹介します。
第1位:ノ・ヒョンジンさん(ファイナル)
――― 見事ファイナリストに選出され、入賞した感想を教えてください。
1位に選んでいただいたことに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。
実は、自分が優勝するとは想像もしていませんでした。だからこそ、この結果は自分にとって本当に大きな意味があります。審査員の皆様、そしてカワイの皆様に、心からの感謝を伝えたいです。
―――Shigeru Kawai SK-EXについて、演奏された感想をお聞かせください。
実はここに来る前から、カワイのピアノで演奏することを決めていました。
私のプログラムには「温かく深みのある音」がどうしても必要だったのですが、カワイのピアノならその響きにぴったり合うと考えたからです。実際に弾いてみて、その選択は間違っていなかったと確信しています。
第1位:ノ・ヒョンジンさん(ファイナル)
―――あなたにとって音楽とは、ピアノとは。音楽・ピアノを通じて何を伝えたいですか。
私にとってピアノは、単なる「生活の手段」のようなものではありません。
辛いときも、幸せなときも、ピアノ(そして音楽)は私のすべてを表現してくれます。だから私にとって、ピアノは「親友」のような存在だと感じています。
音楽には、お互いの心や考えを感じ合えるとても強い力があると思っています。だからこそ、私は自分の人生や物語を、聴衆の皆さんと分かち合いたい。
それが上手くいかないこともあるかもしれませんが、私はいつも最善を尽くしています。真心を持って、温かい心で向き合えば、いつか必ず聴衆の皆さんと繋がれると信じているからです。
―――今後の展望について、教えてください。
今のところ、さらに多くのコンクールに挑戦し続けようとは考えていません。
それよりも今は、自分のレパートリーを広げることに集中したいと思っています。
新しい曲に取り組み、もし演奏会の機会をいただけるのであれば、そのステージを通して皆さんと自分の物語を分かち合っていきたい。それが、私の今の計画です。
入賞者コンサートで日本にも行けるとの事なので、本当に楽しみにしています。
第1位:ノ・ヒョンジンさん(表彰式)
「自分はただ、音楽と聴衆の『橋渡し』でありたい」
演奏を単なる自己表現の場とは捉えず、楽譜の奥に眠る作曲家の声を、いかに素直に引き出せるか。
そう語る青島さんの言葉からは、音楽に対するどこまでも誠実な姿勢が伝わってきます。 「自分だからこそ気づけた曲の魅力を、そっと提示できればいい」。
謙虚な表現者が音楽に込めた、誠実で飾らない想いをお届けします。
第5位:青島周平さん(表彰式)
――― 見事ファイナリストに選出され、入賞した感想を教えてください。
何よりも、準備してきた曲をすべて無事に演奏しきれたことが一番嬉しいです。
ここまで来られたのは、自分の準備だけではなく、様々な要素や幸運が重なったおかげだと思っています。そうした巡り合わせへの感謝も含めて、今はただ、幸せな気持ちでいっぱいです。
―――Shigeru Kawai SK-EXについて、演奏された感想をお聞かせください。
響きの異なる2つの会場に合わせて、常に最善の状態を整えてくれたカワイチームの皆さんの努力には、本当に感謝しかありません。
今大会では各ラウンドで様々な時代や技術を要する曲を弾く必要がありましたが、どの曲においても、自分のポテンシャル以上のものを引き出してくれるピアノでした。
もともとカワイの音は大好きでしたが、演奏中のその瞬間瞬間を心から楽しめたのは、あの楽器があってこそだと改めて感じています。
第5位:青島周平さん(ファイナル)
―――あなたにとって音楽とは、ピアノとは。音楽・ピアノを通じて何を伝えたいですか。
私にとって演奏とは、単なる「自己表現」の場ではありません。もちろん聴いてもらうためにその要素は必要ですが、それ以上に、楽譜から読み取ったその曲の素晴らしさを伝えたいという思いが強いです。
時間をかけて曲を学び、深めていく中で、「自分だからこそ気づけたこと」がもしあるのなら、それを少しでも観客の皆さんと共有できれば。
それが、私が演奏する唯一の目的と言ってもいいかもしれません。
音楽は、ずっと共に歩んできた存在です。時にコンクールという場が苦しみになることはあっても、音楽そのものに苦しめられたことは一度もありません。
これからも一生、自分を救い続けてくれるものだと思っています。自分の支え、ですね。
演奏を通じて何を伝えたいかというのは、実はとても難しい問いです。
聴き手にはそれぞれの人生があり、その時の感情も様々ですから、どう受け取るかは聴く方の自由でいいと思っています。
だからこそ、私は決して「自分のため」や「パフォーマンスのため」に弾くのではなく、楽譜に刻まれた情報を、裏付けを持って素直に表現することを大切にしています。
演奏者が何かを強いるのではなく、音楽をニュートラルに提示する。その結果として、もし気に入ってくれる人がいたり、誰かの心に何かが届いたりするのであれば、それが一番素敵なことだと考えています。
第5位:青島周平さん(ファイナル)
―――今後の展望について、教えてください。
短期的には、あと数年はヨーロッパに留まり、今の素晴らしい環境の中で学びを深めていきたいと考えています。これまでの姿勢を崩さず、しっかりと音楽と向き合い続けるつもりです。
そして長期的には……お世辞ではなく(笑)、シゲルカワイと共にたくさんのステージに立ちたいと思っています。今回のコンクール期間中、練習でも本番でも、弾き込んできたはずの曲から「こんな音も出せるのか」という新しい発見を何度も与えてくれました。
調律師の方々の尽力があってこそですが、自分の音楽の新しい側面を引き出してくれるこのピアノと、またすぐにでも一緒に演奏できたら嬉しいですね。
世界各地のピアノ奏者が技と個性を競う、国際舞台の新たな挑戦——ポーランドの名ピアニスト・作曲家であり国家指導者でもあった人物を記念するこの音楽コンクール。
予選をウイーン、ブレシア、ワルシャワ、モスクワ、ニューヨーク、ロンドン、北京、ソウル、東京と9都市で開催し、選抜された参加者が本選を目指します。
自由曲中心のプログラムで自分らしさを存分に表現できる構成であると同時に、世界中のピアノ愛好家がインターネットでリアルタイムにその演奏を視聴可能。最終ステージではオーケストラとの協演もあり、若手演奏家の国際的な飛躍を後押しする場として、世界的な注目を集めています。
Shigeru Kawaiフルコンサートピアノ「SK-EX」は、2016年の第10回大会より公式ピアノとして採用されています。

調律中のカワイMPA:蔵田氏
「世界一のピアノづくり」を目指す当社が、2001年に発表したフルコンサートピアノのフラッグシップモデル。コンサートピアノとして要求される最高の表現力を実現するために、響板には十分に厳選した材料だけを使用し、原器工程と呼ぶ伝統的な手作り工程で生産。またShigeru Kawaiグランドピアノシリーズで採用した新素材を随所に取り入れた革新的なウルトラ・レスポンシブ・アクションIIが、高い連打性と安定したタッチ感を提供する。繊細で伸びやかなピアニッシモに加えて、力強い輪郭のはっきりした響きが特長。
カワイMPA:三浦氏