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2026.03.30

――― コンクールを振り返り、「高松」という地で、長いコンクール期間を走り抜けた今の率直なお気持ちをお聞かせください。
第2位、そして2つの特別賞をいただけたことを、今も心から光栄に感じています。コンクールが閉幕して1週間半が経ち、ようやく心身を休めて自分自身を振り返る時間が持てましたが、私の心はいま、幸福感と感謝、そして「さらに高みを目指したい」という意欲で満たされています。
―――今回のステージで演奏されたプログラムの中で、特にご自身が「今の自分の音楽」を最も深く託せた、あるいは思い入れのある一曲を教えていただけますか?
メシアンの『喜びの聖霊の眼差し』を弾いている時は、まるで自分の家にいるような心地よさを感じました。この曲は、私自身の陽気な一面や、ピアノが持つ多彩な色彩と質感を追求したいという情熱を、そのまま映し出してくれます。今回演奏した「Shigeru Kawai」は、そうした繊細なニュアンスを引き出すのに最高のパートナーで、音の細部にまで私の理想を込めることができました。
また、サン=サーンスのピアノ四重奏曲やピアノ協奏曲第4番も、私にとって特別な存在になりました。演奏機会の少ないこれらの名曲を、指揮者の広上淳一さんや素晴らしい共演者の方々と共に奏でられたことは、かけがえのない喜びです。
―――過酷なコンクールにおいて、ピアノはあなたの想いを託すことができる「最も身近な共演者」だったかと思います。今回選んだピアノは、あなたの奏でたい音に対してどのように応えてくれましたか?
コンクールやコンサートで「Shigeru Kawai」を選べることは、私にとって大きな安心であり、何よりの喜びです。この楽器は、私の中に浮かぶ音のイメージや色彩感に、驚くほど自然に応えてくれます。
ステージの上で、私に「もっと大胆に、もっと繊細に」というインスピレーションを与えてくれる存在。まるで呼吸を合わせるように、指を動かす前からピアノが私の音楽的な思考を察知してくれているような、魔法のような一体感がありました。そんな楽器とのスムーズな対話があったからこそ、聴衆の皆さんともより深いところで繋がることができ、演奏体験がさらに豊かなものになったと感じています。

―――ピアニストとして歩んでいく中で、あなたにとって「ピアノを弾くこと」はどのような存在ですか?また、このコンクールでの経験は、今後の活動にどのような彩りを与えてくれそうでしょうか。
私にとって、音楽は「言葉の終わるところ」から始まるものです。ピアノを弾くことは、言語の壁を超えて、感情や思想を聴き手と分かち合うためのコミュニケーションそのものです。私の演奏を聴きに来てくださる一人ひとりの存在が、私の音楽に意味と目的を与えてくれます。
今回の高松国際ピアノコンクールは、モーツァルトやベートーヴェンのソナタといった古典的なプログラムが求められる、非常に手応えのある舞台でした。普段あまり演奏してこなかった名曲たちと深く向き合うことで、視野が広がり、作品への理解がより深まりました。この経験は、これからも好奇心を持って、新旧のレパートリーを探求し続けていくための大きな糧になると信じています。
―――最後に、会場であなたの演奏を熱心に見守ってくれた聴衆の皆さんや、この記事を読んでいるピアノファンの方々へ、メッセージをお願いします。
私を支えてくださったすべての方々に、心からの感謝を伝えたいです。皆さんの温かい応援と、あの会場にいてくださった事実がなければ、この成果は得られませんでした。
これからも音楽を通じて、より多くの人々と繋がり、喜びや思索、そして人生の意味を分かち合えるような時間を築いていけたら幸せです。皆さんからいただいた力を励みに、これからも一人の芸術家として誠実に、真摯に音楽に向き合い成長していきます。本当にありがとうございました!
第2位:ジョンファン キム(KIM Jeonghwan)
| 順位/賞 | 名前 | 国籍 |
|---|---|---|
| 第1位 | ロマン フェディウルコ(Roman FEDIURKO) | ウクライナ |
| 第2位 | ジョンファン キム(KIM Jeonghwan) | ドイツ |
| 第3位 | エリザベス ツァイ(Elisabeth TSAI) | アメリカ |
| 第4位 | パク へリム(PARK Haerim) | 韓国 |
| 第5位 | ハ ギュテ(HA Gyu Tae) | 韓国 |
| 特別賞 | 名前 | 国籍 |
|---|---|---|
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最優秀室内楽演奏者賞
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ジョンファン キム(KIM Jeonghwan) | ドイツ |
| 最優秀委嘱作品演奏者賞 | ジョンファン キム(KIM Jeonghwan) | ドイツ |
| 香川県知事賞 | ロマン フェディウルコ(Roman FEDIURKO) | ウクライナ |
| 高松市長賞 | ロマン フェディウルコ(Roman FEDIURKO) | ウクライナ |
| 公益財団法人松平公益会賞 | ロマン フェディウルコ(Roman FEDIURKO) | ウクライナ |
| 公益財団法人高松観光コンベンション・ビューロー理事長賞 | ジョンファン キム(KIM Jeonghwan) | ドイツ |
| 公益財団法人高松市文化芸術財団理事長賞 | ロマン フェディウルコ(Roman FEDIURKO) | ウクライナ |
第2位:ジョンファン キム(KIM Jeonghwan)

「世界一のピアノづくり」を目指す当社が、2001年に発表したフルコンサートピアノのフラッグシップモデル。コンサートピアノとして要求される最高の表現力を実現するために、響板には十分に厳選した材料だけを使用し、原器工程と呼ぶ伝統的な手作り工程で生産。またShigeru Kawaiグランドピアノシリーズで採用した新素材を随所に取り入れた革新的なウルトラ・レスポンシブ・アクションIIが、高い連打性と安定したタッチ感を提供する。繊細で伸びやかなピアニッシモに加えて、力強い輪郭のはっきりした響きが特長。