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2025.10.31

第19回ショパン国際ピアノ・コンクール入賞者インタビュー:「私にとって、音楽は一番の親友です」— ワン・ズートンさんが語る

 

—あなたの記憶に残っている「一つの音、一つのフレーズ」はなんですか?

第19回ショパン国際ピアノ・コンクールで見事第3位に入賞、ソナタ賞を受賞したピアニスト、ワン・ズートンさん。彼女が演奏を通して大切にするのは、誰かの記憶に残る、まさにその”特別な瞬間”の共有だという。彼女にとって音楽は全てを表現し、自己を癒やす「一番の親友」。そして、彼女の演奏を聞いてくれる一人ひとりに「私はあなたの心に寄り添っているよ」というメッセージを届けたいと語る。彼女の深い人間性と音楽観が、いかに聴衆を惹きつけるのか。

第3位入賞 ワン・ズートン(Zitong Wang)インタビュー

 

――― 見事ファイナリストに選出され、入賞した感想を教えてください。

最高の気分です! こんなに光栄なことはないです。歴代の素晴らしい受賞者の方々を思い浮かべると、今でもまだこの状況を消化しきれてないんです。この賞をいただけたこと、それからソナタ賞も、本当に光栄です。全てが私の想像を超える出来事でした。

このソナタ(ソナタ第2番)は、以前に習って以来、ずっと思い入れが深い大切な曲です。弾くたびに色んな気持ちが蘇ってくるんですが、今回は特にダン先生(ダン・タイ・ソン氏)にご指導いただいたことを思い出し、とても感情的になりました。この曲を予選のプログラムに入れたこと自体が、私にとってすごく意味深いものになりました。ですから、全てにおいて本当に、本当に光栄に思っています。

―――Shigeru Kawai SK-EXについて、演奏された感想をお聞かせください。

ピアノの選定でカワイのピアノを選ぶのはとても簡単でした。というのも、私はファツィオリ、スタインウェイ、カワイの3つのみ試奏し、4年前と同様にスタインウェイかカワイかで少しだけ迷いました。スタインウェイは予備審査で弾いたのと同じピアノだったので、慣れ親しんだ感覚があったのですが、カワイの音色はとても繊細で、弾くたびにワクワクしたんです。

私の選曲を考えると、高音域にもっと輝きが必要で、低音域にはただ大きいだけでなく、もっと深みが必要でした。”キャラクター”がないといけなかったんです。また、高音域はただの輝きのある音色だけではなく、もっと軽やかさ、楽しさ、そして明確な音の区切りや豊かな表情が欲しかったんです。それらを全て引き出せる可能性があったのは、このピアノだけだと感じました。

総合的に見て、私の選曲に最も適したピアノでした。 特に気に入ったのは、全ての音域で異なるキャラクターを与えてくれる音質です。これは私にとって驚きでした。というのも、普通ピアノの音色は均一な感じがするものですが、このピアノはなぜか、私が望むあらゆるキャラクターをとても簡単に、自然に出すことができるクオリティを持っていたんです。本当に、自分で努力する必要があまりなかったんです。弾いている時も、タッチがとても楽に感じました。

予選が終わった後、ダン先生から「カワイは君にとって素晴らしい選択だったと思う。君の演奏に本当に合っている」とメッセージをもらいました。

また、カワイのより静かな側面、つまり、私が弾いた多くの曲に必要だった繊細さや歌うような音色を出すためのタッチも、私が必要としていたものでした。

中には”弾きやすいかどうか”でピアノを選ぶ人もいます。弾きやすさだけを考慮していたら、違うピアノを選択していたかもしれません。ただ、”弾きやすさ”で選んだ結果、望む音色が得られないよりも、想像した通りの音が出せるカワイのピアノが良いと感じました。それに、慣れる時間も非常に短く済んだんです。

このピアノで弾くのが大好きでした。弾けば弾くほど、どんどん好きになりました。

―――今後の展望について、教えてください。

ただ音楽を演奏し続けたいです。 私にとって、音楽は私を癒やしてくれるものであり、ピアノは一番の親友です。全てを表現できる場所なんです。ピアノに限らず、音楽そのものが私を癒やしてくれます。

ホールでもオンラインでも、私の演奏を聴いてくれる誰かがそこにいるのなら、その人に「私はあなたの心に寄り添っているよ」と感じてもらいたいんです。たとえそう感じてくれるのが一人だったとしても。

私にとって、演奏するということは人間的な繋がりの方が大きいと感じています。コンサートに行った時、全て覚えていることは難しいですが、一つの音や一つのフレーズを覚えている瞬間がありますよね。もし、私が演奏するものを通して、誰かにそんな”瞬間”を感じてもらうことができたら、私はとてもとても幸せです。

 

演奏動画(ファイナルラウンド)

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第19回ショパン国際ピアノ・コンクール「審査結果」

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順位/賞 名前 国籍
第1位 エリック・リウ(Eric Lu) アメリカ
第2位 ケヴィン・チェン(Kevin Chen) カナダ
第3位 ワン・ズートン(Zitong Wang) 中国
第4位 リュー・ティエンヤオ(Tianyou Lyu)/桑原 志織(Shiori  Kuwahara) 中国/日本
第5位 ピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz)/ヴィンセント・オン(Vincent Ong) ポーランド/マレーシア
第6位 ウィリアム・ヤン(William Yang) アメリカ
入選 ダヴィド・フリクリ(David Khrikuli)/リ・ティエンヨウ(Tianyou Li)/進藤実優(Miyu Shindo) ジョージア/中国/日本
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特別賞 名前 国籍
コンチェルト賞 リュー・ティエンヤオ(Tianyou Lyu) 中国
マズルカ賞 イェフダ・プロコポヴィチ(Yehuda Prokopowicz) ポーランド
ポロネーズ賞 リ・ティエンヨウ(Tianyou Li) 中国
ソナタ賞 ワン・ズートン(Zitong Wang) 中国
バラード賞 アダム・カルドゥンスキ(Adam Kaldunski) ポーランド
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聴衆賞 名前 国籍
第1位 ピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz) ポーランド
第2位 ヴィンセント・オン(Vincent Ong) マレーシア
第3位 リュー・ティエンヤオ(Tianyou Lyu) 中国
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ショパンコンクール概要はこちらの記事をご覧ください。
「第19回ショパン国際ピアノ・コンクール SK使用者3名が見事入賞」
(画像クリックで記事にジャンプします。)

 

Shigeru Kawaiフルコンサートピアノ 『SK-EX』について

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「世界一のピアノづくり」を目指す当社が、2001年に発表したフルコンサートピアノのフラッグシップモデル。コンサートピアノとして要求される最高の表現力を実現するために、響板には十分に厳選した材料だけを使用し、原器工程と呼ぶ伝統的な手作り工程で生産。またShigeru Kawaiグランドピアノシリーズで採用した新素材を随所に取り入れた革新的なウルトラ・レスポンシブ・アクションIIが、高い連打性と安定したタッチ感を提供する。繊細で伸びやかなピアニッシモに加えて、力強い輪郭のはっきりした響きが特長。

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